コロナ後に大きく変化した世界の消費者ニーズ 継続的な調査がビジネスチャンスを生む

Withコロナでも変わらぬ市場調査の重要性

海外ビジネスの準備の際に必要な海外市場調査。Withコロナ時代において、海外での市場調査の流れも変化を強いられています。
しかし、現地調査の重要性は変わりません。現地のマーケット状況や競合、協業先の調査など、現地でのビジネスを成功させるために必要な段取りはどの時代も大きな違いはなく、海外でのビジネスを拡大し、売上を伸ばしていく上で、海外市場調査は必要不可欠なプロセスです。

ただ、やはり新型コロナウィルスの感染拡大によって、ビジネスの多くの面で制約がかけられている現実があります。

このような今までにない新しい環境の中、どのような変化が求められているのでしょうか。
今回は企業における「海外調査」業務の観点から、いくつか施策の実行におけるご提案をいたします。

新型コロナウィルスの感染拡大に大きな影響を受ける海外ビジネス

移動の制限による現地調査の難しさ

Withコロナ時代において、問題となるのは「現地で日本人担当者が調査する」ことが難しくなるという点です。
日本で新型コロナウィルスの感染者数にいくつも波が押し寄せているように、ウィルスの広がりをコントロールすることは出来ておらず、いつどの地域でまた感染が広がり、地域や国の移動が制限されるかわかりません。

現地で調査するためには当然調査のための人員が必要で、基本的にはそうした調査を行う企業の担当者か、委託を受けた調査会社の担当者が行います。
コロナで海外への渡航が制限されている中、今までのようにターゲット地域に出向いて現地で調査することができなくなります。

感染状況に大きく左右される消費傾向

2020年12月現在、新型コロナウィルスに対するワクチンの開発、接種に関する報道も出てきています。仮にこうしたワクチンによって感染の拡大が止まれば、経済活動はある程度回復することが予想されます。

ただ、何らかの事情で感染拡大をおさえきれない場合、もしくは感染拡大が続く場合には、経済活動、消費活動は停滞し続けることになります。
現時点では、どの時期にどれくらい感染が拡大するか予測するのは困難です。
企業にとって、これからの感染状況、ひいては経済活動や消費活動がどの程度戻るかの予測を元に、予算の編成や投資活動を行いますので、将来の①感染拡大状況、②景気が読めない今の状況では、施策が打ちづらいという現実があります。

新型コロナウィルスの感染拡大によって生まれた新しいチャンス

生活スタイル・消費スタイルの変化による新しいヒット商品

新型コロナウィルスの感染拡大により、外出する機会が減り在宅の時間が長くなったことで人々の消費傾向が大きく変わりました。生活スタイルが在宅を中心とするものに変わったことで、新しく売れる商品やサービスが出てきました。
例えば日本では、マスクや消毒用品は当然として、ゲーム関連、調理家電、オンライン教育など意外な商品・サービスが大きく注目されるようになりました。 他にもアメリカでは日本のアニメ関連グッズやエレクトロニクス製品が、イギリスでは自転車やガーデニング関連商品の売り上げが上がっているなど、生活スタイルの変化によって、世界中で消費傾向にも大きな変化が起きています。

生活スタイルの変化や、オンラインでの購買機会の増加によって、これまで新しい商品に光があたるようになってきました。
逆に言うと、この購買スタイルの大きな変化は、今まで注目されていなかった商品が売れるチャンスになりうると言うことです。
生活スタイルの変化による今までになかったニーズを掘り起こすことができる新しい商品やサービスにチャンスがあります。

店頭からオンラインへ、販売チャネルの質的変化

オンラインでの販売機会が進むということは、より商品力が問われるということでもあります。現地の小売店で直接手にとってもらう機会よりも、インターネット上の評判などが売り上げの拡大ににとってより重要になります。

オンラインでも販売できるということは、小売店の店頭へのサプライチェーンを整備する必要がなく、ECサイトにてオンラインで受注、倉庫から発送するというシンプルなフローによってビジネスが成立します。

これまでは、小売店の店頭に並べるための営業活動が非常に重要でしたが、それら販売ネットーワークの大きさよりも、より商品力が問われる時代になりつつあります。その商品の情報や評判を検索やSNSでチェックして、より慎重に購買するスタイルになっています。

店頭で販売されていれば、人の流れによって一定数消費者の目に触れる機会を確保できましたが、ネット上ではありとあらゆる商品が販売されているため、競合製品と比べても差別化を意識して、消費者に届く情報や評判を考慮して販売する必要があります。

どう見られたいかより、どう使いたいか

例えば2019年のヒット商品にはタピオカやハンディファンなどがあり、どちらかと言うと機能よりもスタイルが着目されたブームの商品がヒットしました。 それらと比べても、新型コロナウィルスの感染拡大が広がった2020年は消費者の深いニーズに基づいた商品が人々に受け入れられていることがわかります。

外出が減ることで他人からの目が少なくなったことで「流行だから買う」ことよりも「自分にとって価値があるから買う」というシーンが増えています。 そのためブームや流行、衝動的な欲求よりも消費者の深いインサイトやニーズに基づいた商品がより求められるようになります。

オンラインでは「いつでも買える」し「届くまで時間がかかる」からこそ、消費者は購入を吟味する余裕があります。店頭でしか買えないからこそ、その場で買ってしまうような衝動買いはオンラインの場合は比較的少なくなります。

例えばコンビニでついスイーツを買ってしまうようなことがあっても、オンラインで同じようについスイーツを買ってしまうようなことは少なく感じる人も多いでしょう。それは、買っても届くのが明日以降で、その時にはスイーツを食べたい「気分」じゃないかもしれないからです。 また「現地で店員にオススメされたから買う」ようなこともなくなるため、消費者はより主体的にその商品について知る必要も求められ、自分で商品知識を調べる機会が増えます。

「気分」や「衝動的な欲求」よりも「必要性」や「理由」に基づいて何を買うのか決めるため、インターネット上の評判や、商品の説明(スペック等)、ストーリーなど、消費者がWeb上で確認できる商品の情報を用意することで、消費者はより安心して買うことができます。 商品やサービスの販売者は、消費者に届けるまでの流れを、新しい時代に合ったものに合わせていくことで、より販売拡大に繋がる可能性があります。

現地のニーズや流行を継続的に調査することの重要性

ここまでお伝えしてきたように、新型コロナウィルスの感染拡大による消費スタイルや価値観の変化により、世界中で新たなマーケットが誕生しています。
生活スタイルや価値観が変化したことにより、それまでとは違った新しい商品やサービスが注目されるようになります。2020年3月に感染の拡大が始まり、それに伴い生活スタイルが変化し始めてまだ1年経っておらず、季節も一巡していないことから、まだ発見されていない新しい商品やサービスは眠っていることでしょう。

この新しいマーケットは大きなビジネスチャンスです。変わり続ける消費スタイルや価値観に合わせた商品やサービスを提供することで、多くの人に受け入れられるチャンスとなります。 こうした変化を捉えるためにはターゲット地域への定期的な調査は欠かせません。アンケート調査やヒアリング調査、ニュースの調査を行うことで、現地でのニーズや流行を捉えることができます。

海外調査を定点観測的に行うことで、世界のそれぞれの地域でのヒットの動向が見えてきます。定点観測することでより早く消費意識や消費傾向の変化に気付くことができます。 これらの変化にいち早く気付き、消費者の新しいニーズに応えることができる商品やサービスは広く受け入れられていくようになるでしょう。
最新の消費意識や消費傾向は、メディアのニュースで目にした時点ではすでにある程度広まってしまっているがゆえに、タイミングとしてはすでに遅く、日頃からの継続的な一次情報、消費者の直接のデータを取得するための取り組みが必要になります。

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